コンテンツマーケティング

コンテンツマーケティングの効果とは?【導入実践解説】

コンテンツマーケティングの効果とは?【導入実践解説】

過去であれば、Web広告を中心にしたデジタルマーケティングで、収支のバランスがとれたリード(見込み顧客)獲得が期待できました。
しかしながら、現在はリスティング広告のクリック単価上昇に伴い、企業は獲得コストの増加に直面し、リスティング広告の展開において課題を抱えることが増加しています。

そのため、Web広告を中心にしたセールス活動だけでは、リード獲得は困難となり、ターゲット市場の魅力的なコンテンツを生み出すことは、現在のデジタルマーケティングにおいて不可欠なスキルとなりました。
顧客の心をつかみ、ブランドの価値を伝える手法の中でも、コンテンツマーケティングは効果的な手法の一つです。

執筆者紹介

平林 宗広

平林 宗広 munehiro hirabayashi
Webサイトの企画・制作・運用&SEO対策コンサルティング ココミル代表。
2019年10月創業以来、SEO対策のコンサルタントとして40件以上のサポートに携わる。
2020年11月、Webサービスメディアで、コンテンツマーケティング支援を実施し、リード(見込み顧客)獲得数増加に成功。
2022年7月、コンテンツマーケティングのサポート相談・業務増加に伴い、コンテンツマーケティング支援サービスを正式リリース。

コンテンツマーケティングの効果

下記は広告配信からコンテンツマーケティングに切り替え、リード獲得単価を大幅に減少させた実例になります。

コンテンツマーケティング支援実績
リード獲得単価の高いBtoB商材で、記事数0から約3年間で664件のリードを広告費ゼロで獲得し、リード獲得単価9割減を達成

1.導入前(広告配信) 2.導入後(コンテンツマーケティング)
広告配信期間:
2020年7月1日~2020年10月31日(4ヶ月間)
支援期間:
2020年11月1日~2023年8月31日(34ヶ月間)
広告費用計:
約200万円
支援費用計:
約374万円
リード獲得数:
30件
リード獲得数:
664件
一件当たりのリード獲得単価:
約66,600円
一件当たりのリード獲得単価:
約5,600円

本記事では、成功するコンテンツマーケティングのための鍵となる戦略・手法に焦点を当て、どのようにコンテンツを制作し、ターゲットオーディエンスとの深い結びつきを築くのか、実践的に解説します。

良い戦略と作戦・悪い戦略と作戦

まずはじめに、戦略や作戦がしっかりしていないと、ただ戦術に時間と資源を費やすだけで、期待される成果を上げることが難しくなります。

よく見られる間違いは、競合サイトを単に模倣し、外部のライターに同様の記事を依頼して機械的に掲載し続けることです。
先行する情報をコピーしたコンテンツ(言い回しを多少変えたものを含む)は、通常、検索エンジンによって十分な評価を受けません。

さらに、コンセプトのないまま外部に発注されたコンテンツは、どこか違和感のある文章が多々あり、ターゲットオーディエンスに何を伝えたいのかが不明瞭です。

良い戦略と作戦・悪い戦略と作戦の比較

良い戦略と作戦 悪い戦略と作戦
○明確なコンセプトがある
例)実施してきたWebマーケティングの成功・失敗体験を惜しみなく提供する
×明確なコンセプトがない
例)広告費ゼロで月10件以上リードを獲得したい

○ターゲットオーディエンスの理解
ターゲットオーディエンスのニーズ、興味、痛みを深く理解し、顧客の要望に合ったコンテンツを提供する
×ターゲットオーディエンスを無視
ターゲットオーディエンスのニーズや興味を無視し、無関係なコンテンツを提供する

○独自性がある
自社の商材に関連する専門的な知識や情報をベースに、さらに実際の経験談を交えた独自性があるコンテンツを提供する
×独自性がない
自社の商材に関連する専門的な知識や情報がなく経験もないため、既に世に広まっている情報を模範してコンテンツを提供する
Webサイトにおけるコンテンツマーケティングの全体像

コンテンツマーケティングの全体像

ターゲットの選定

マーケティングにおけるターゲットの選定とは「商品の購入層」を決めることです。
ターゲットの選定基準は、企業やブランドが特定の顧客セグメント(年齢や性別、地域、行動傾向など)に焦点を当て、リソースを最適に活用し、効果的なマーケティング戦略を立てるために使用されます。
以下は、ターゲットの選定基準の一般的な要素です。

人口統計情報
  • 年齢: 顧客の年齢層を考慮し、ターゲットを絞ります。
  • 性別: 男性、女性、その他に基づいてターゲットを選定します。
  • 地理的位置: 顧客の地理的な位置や地域に焦点を当てることが重要です。
  • 収入層: 顧客の収入層を考慮して、価格戦略を調整します。
心理的要因
  • 興味や趣味: 顧客の興味や趣味に合った製品やサービスを提供することが効果的です。
  • 購買動機: なぜ顧客が製品やサービスを購入するかを理解し、それに合致するマーケティングメッセージを作成します。
競合状況
競合他社のターゲット市場: 競合他社がどの顧客セグメント(年齢や性別、地域、行動傾向など)をターゲットにしているかを調査し、差別化を図ります。
市場の成長ポテンシャル
ターゲット市場の成長率やポテンシャルを評価し、将来的な売上の機会を考慮に入れます。
購買プロセスとチャネル
顧客がどのように製品やサービスを購入するかを理解し、適切な販売チャネル(集客するための媒体)を選択します。

これらを基準に、マーケティング予算やリソースの制約を考慮し、ターゲットを選定してください。
このターゲット設定は非常に重要な工程ですので、よりターゲットの理解を深め、解像度(誰に・何を)を上げるために象徴ペルソナを策定しましょう。

ペルソナを策定しないと、時間とお金を無駄になることも

当ココミルはWebサイト制作を事業にしておりますが、「建設業経営者で社員数1~3人」をターゲットに選定した場合の失敗例を紹介します。
労働者の雇用がゼロで建設業を営む一人親方や、1~3人ほど雇用する中小企業が運営する建設業は、未だにWebサイトを持たないケースが多く見受けられます。

これはWebサイト制作市場において、競争相手が少ない状況であると言えるでしょう。
しかし、この市場をターゲットに選定し、象徴的なペルソナを設定せずにコンテンツマーケティングを進めた場合、公開する情報がいかに有益であっても、おそらくリード獲得は難しいものとなるでしょう。

その理由は、先述の中小企業の多くが既存の取引先で十分な事業を展開しており、新規取引に積極的でないことが挙げられます。
既に事業が満足するレベルまで達しているため、新たな取引の必要性が低く、それゆえに新しいWebサイトの構築にはあまり関心を寄せていません。

もし象徴的なペルソナを策定していれば、この市場では受動的なアプローチであるコンテンツマーケティングが適していないことが明らかとなり、誤った活動を進めることなく、時間と資金を無駄にすることは避けられます。
↓↓↓

象徴的なペルソナ

象徴的なペルソナ

コンテンツマーケティング導入を検討しているのならば、億劫かもしれませんが、ペルソナは重要ですので、策定してください。

ターゲット側とサイト運営側、2つの視点でポジショニングを探る

ターゲット側とサイト運営側、2つの視点で、ポジショニング(競合比較や商材の特性が位置するところ)を探りましょう。
商材自体は競合と変わらないケースは多々ありますが、コンテンツマーケティングであれば、差別化できる領域があるかもしれませんので、様々な視点・切り口で探りましょう。

2つの視点でポジショニングを探る

ターゲット側(誰に) サイト運営側(何を)
年齢、性別、地理的位置、収入層 etc… サービスの種類、専門的な知識、有益な情報、ポリシー etc…

複数の軸に基づいてセグメント化し、それをポジショニングマップに反映させる

ポジショニングマップdemo

競合ひしめくWebサービスメディアの集客で、寄与したコンテンツの事例

事例概要
対象業界:ローカルSEO
寄与したコンテンツ:某口コミ媒体の口コミ対処方法について解説
結果:「●●口コミ 営業妨害」のキーワードで検索結果1位表示を達成、自然流入数増加

Googleサーチコンソール
出典:Google Search Console 

一般的に検索エンジン上位化するコンテンツのボリューム(文字数)は多い傾向にありますが、こちら寄与したコンテンツの文字数)は、1,700前後の文字数とシンプルです。

なぜ、特別なことをしていないのに、競合ひしめくWebサービスメディアで成果が出たのか?
それは、競合とは差別化を図り、商材視点ではなく、ターゲットであるユーザー視点を追及したからです。

商材視点(競合)
ユーザーはネガティブな口コミで困っている→ユーザーはネガティブな口コミを削除したい
 ユーザーは対処方法を削除と決定しているはず
ユーザー視点で追求(某社)
ユーザーはネガティブな口コミで困っている→ユーザーの心理状況「これは営業妨害だ」→ユーザーは営業妨害を解決したい
 ユーザーはどのように対処すべきかわからないはず
事例:ポジショニングマップのイメージ「誰に」
▼ターゲット側:ユーザーの視点でポジションを取っている

ポジショニングマップのイメージ「誰に」
事例:ポジショニングマップのイメージ「何を」
▼サイト運営側:商材の視点でポジションを取っている

ポジショニングマップのイメージ「何を」

コンセプトの策定

引き続き、前述で紹介した事例を基に、解説いたします。
ターゲット側とサイト運営側、2つの視点でポジショニングを探り、さらにその2つが重なり合う領域を探るとコンセプトの方向性が明確になります。

重なり合う領域を探るとコンセプトの方向性が明確になる

重なり合う領域
コンセプトの策定例
某口コミ媒体に戸惑う経営者を対象に、運用方法のメリットとデメリットを詳細に解説し、効果的な活用を促進するためのWebサービスメディア

キーワード設計

成果を得るためには、起点となるキーワードの設計が不可欠です。

1.準備
自社・競合・市場の正しい整理
2.キーワード抽出
成果に繋がるワードの抽出
3.選定・絞り込み
結果を出す為の優先ワードを絞り込む
4.重複削除
類似・重複ワードを排除

1.準備

  • ユーザーを分析する(ペルソナを整理・言語化)
  • 自社を分析する(商品・サービスの独自性や強みを整理)
  • 競合を分析する(競合サイトが取得しているキーワードを整理)

2.キーワード抽出

  • 関連するキーワードを洗い出しする(自社のビジネスに少しでもつながりそうなキーワードを全て抽出)
  • 複合キーワードと月間平均検索ボリュームを洗い出しする
  • 競合が取得しているキーワードを洗い出し、分析する

3.選定・絞り込み

キーワード選定は主に以下の2つに分類することを推奨します。

キーワード選定の基本分類

取引型
サービス・商品の購入など具体的な行動があるタイプ
不用品回収を主力サービスに扱う事業者例)
→不用品回収
情報型
情報収集を目的としたタイプ
不用品回収を主力サービスに扱う事業者例)
→冷蔵庫 処分

この中で「今すぐ」成果に結び付くキーワード種は取引型ですが、多くの競合が思いつくワードで、競合激戦区です。
特に初期(1~10ヶ月)は競合と争うキーワードを避けましょう。

そしてコンテンツマーケティングにおいて特に重要なのが、情報型のキーワード。
「今すぐ」など即成果に繋がりませんが、商品・サービスがユーザーが欲する部分に接触し、集客貢献度は高いキーワードで、結果として成果を出すための最短ルートになります。

初期(1~10ヶ月)段階は、競合がいる領域は避け、独自の存在になれる領域を探す

  • 渋滞している高速道路を使わない(競合がいる領域は避ける)
  • 渋滞していない一般道路を使う(独自の存在になれる領域を探す)
  • 一般道路の中でもさらに空いている道を使う(検索ボリュームは少ないが、検索意図が明確な領域を探す)

キーワード選定イメージ01
キーワード選定イメージ02

4.重複削除

検索意図が類似するものは包括し、コンテンツの共食い(カニバリゼーション)を避けましょう。
ホームページ作成後の注意点!SEOにおけるカニバリゼーション意識は重要

検索意図が類似するものは包括

×検索意図が類似するKWでも個々にコンテンツを作成 ○検索意図が類似するKWは包括してコンテンツを作成
テレビ 処分→1コンテンツ作成 テレビ 処分→1つに包括してコンテンツを作成
└ブラウン管テレビ 処分
└テレビ 廃棄
└テレビ 引き取り 無料
ブラウン管テレビ 処分→1コンテンツ作成
テレビ 廃棄→1コンテンツ作成
テレビ 引き取り 無料→1コンテンツ作成

想定投稿本数設定

基本的には、まず前項「キーワード設計」で選定したキーワードの数が投稿本数となります。
ただし、運用続ける中で旬となる話題やアイデアがあれば、追加・優先的に作成するなど、柔軟に対応しましょう。

投稿ペース

目的は記事をただアップすることではなく、顧客のニーズに応じた高品質なコンテンツを提供し、それによって自然なトラフィックを獲得し、最終的には成果を上げることです。
投稿ペースを早くすることは悪いことではありませんが、早さを優先するあまり、本来の目的から遠ざかるケースは珍しくないので注意が必要です。

専門的なスキルを持つメンバーが多数いるチームは理想的ですが、これを中小企業に求めるのは現実的でないこともあります。
無理なく進捗させるためには、適切なペースで作業を進めることが重要です。

導入初期投稿ペース事例
運用体制:社内1名、社外1名

導入初期投稿ペース事例

継続的に学び実践しましょう

以上がコンテンツマーケティングの導入実践解説になります。
コンテンツマーケティングは単なるセールス活動ではなく、経験談を基にした価値提供、そして視聴者との深い関わりが重要です。
目指す成果に向けて、継続的に学び実践しましょう。

なお当ココミルは、コンテンツマーケティングのサポート相談・業務増加に伴い、コンテンツマーケティング支援サービスを正式リリースいたしました。
ご用命の際はお問い合わせくださいませ。