SEOやコンテンツ施策で一定の集客ができていても、「なぜコンバージョンにつながらないのか」と頭を悩ませているWeb担当者は少なくありません。
そんな課題を感じているWeb担当者やマーケティング責任者にとって、次に取り組むべきは「ユーザー行動の可視化」です。
なかでもヒートマップツールは、ページ上のクリック・スクロール・注目エリアなどを視覚的に分析できるため、コンテンツや導線改善の判断材料として非常に有効です。
とはいえ、「まずは手軽に試してみたい」「導入コストはできるだけ抑えたい」というニーズもあるはず。
そこで本記事では、無料で使えるおすすめのヒートマップツールを厳選してご紹介します。
無料で使えるヒートマップツール5選【特徴・制限】
ヒートマップツールは、ユーザーのクリックやスクロールなどの行動を可視化することで、Webサイト上の「気づきにくいボトルネック」を発見する手がかりになります。
ここでは、初期コストを抑えつつ導入できる無料プランのあるヒートマップツールを5つ厳選し、それぞれの特徴・制限を紹介します。
1.Microsoft Clarity(マイクロソフト・クラリティ)
https://clarity.microsoft.com/lang/ja-jp
Microsoft Clarity(マイクロソフト・クラリティ)は、Microsoft社が提供する無料のヒートマップ・ユーザー行動解析ツールです。
直感的なUIと、ほぼすべての機能が無料で使える点が大きな特徴で、GA4などのアクセス解析ツールと併用することで、定量データに加えて「なぜ離脱したか」といったユーザー行動の理由に迫ることができます。
- 主な機能
- クリックヒートマップ:どこがよくクリックされているか視覚的に表示
- スクロールヒートマップ:ユーザーのスクロール到達率を可視化
- セッションレコーディング:ユーザーの訪問行動を録画・再生可能
- 異常動作検出(rage clickなど):UIの課題を自動検出
- フィルタ機能:訪問者のデバイス・ブラウザ・ページごとに詳細分析
- 無料プランの内容と制限
- Microsoft Clarityは完全無料で提供されており、以下のような特徴があります。
- セッション数・PV数ともに上限なし
- チームメンバーとの共有や複数プロジェクト管理も制限なし
- データ保持期間:ヒートマップなどの集計データは最長13ヶ月間保持されます。個別のセッション録画の保持期間は30日間ですが、お気に入りに登録することで最長13ヶ月まで延長が可能です。
- 広告表示なし・Microsoftの匿名化されたデータ分析目的以外の利用なし
- 使用方法の簡単説明
- Clarity公式サイト にアクセスし、Microsoftアカウントでログイン
- 「新しいプロジェクト」を作成し、追跡対象のWebサイトURLを登録
- 表示されるトラッキングコードを、サイトの<head>タグ内に貼り付け
- 数時間でユーザー行動の可視化がスタート
※WordPressなどのCMSを利用している場合は、専用プラグインやGoogleタグマネージャー経由でも実装可能です。
Microsoft Clarityの詳細については、下記の記事で解説しています。
ぜひ参考にしてみてください。
Microsoft Clarityの無料ヒートマップ機能を徹底解説
Microsoft Clarityには、無料とは思えないほど多機能なユーザー行動解析ツールが搭載されています。
「Clarityって実際どうなの?」「導入方法は難しくない?」「ヒートマップの使い方が知りたい」という方向けに、Clarityの基本機能から導入方法、活用ポイントまでを網羅的に解説します。
2.Hotjar(ホットジャー)
Hotjar(ホットジャー)は、ウェブサイトのユーザー行動を総合的に分析するツールです。
ヒートマップだけでなく、フィードバックツールやレコーディング機能も提供しています。
- 主な機能
- ヒートマップ(クリック・スクロール・マウスムーブ)
- セッションレコーディング(訪問者の操作を録画)
- フィードバックウィジェット(サイト内アンケート)
- アンケート作成(ページごとの調査)
- 無料プランの内容と制限
- Hotjarの無料プランは、「Basic」プランとして提供されており、以下の内容が含まれます。
- 毎日最大35回のセッションを追跡
- 基本機能が利用可能(制限あり)
- 使用方法の簡単説明
- Hotjar公式サイト にアクセスし、無料アカウントを作成。
- トラッキングコードを取得して、自社サイトに埋め込み。
- 設定完了後、ヒートマップやセッションレコーディングが自動で収集されます。
- 管理画面上で、ユーザー行動の可視化・分析が可能。
3.Mouseflow(マウスフロー)
Mouseflow(マウスフロー)は、ヒートマップ、レコーディング、フォーム分析やファネル分析など、さまざまな分析機能を備えたツールです。
- 主な機能
- 6種類のヒートマップ:クリック、スクロール、アテンション、移動、ジオ(国別)、ライブ
- セッションリプレイ(録画):ユーザーの訪問動作を動画で確認可能
- フォーム分析:入力の離脱ポイントを可視化
- ファネル分析:ステップごとの離脱率を可視化
- フィードバック機能:ユーザーからのリアルタイム意見収集が可能
- タグによるセグメント管理:行動パターン別に分析を絞り込み可能
- 無料プランの内容と制限
- 無料プラン:月間500セッションまで無料。
- データ保持期間:1か月
- 機能制限:フィードバック機能や一部API連携は有料
- 使用方法の簡単説明
- Mouseflow公式サイト でアカウントを作成します。
- トラッキングコードを取得して、自社サイトに埋め込み(Google Tag Managerにも対応)。
- 設定完了後、ヒートマップやセッションレコーディングが自動で収集されます。
- タグ機能やフィルターを活用することで、特定のページやデバイスに絞って分析することも可能
4.Smartlook(スマートルック)
Smartlook(スマートルック)は、ウェブサイトやモバイルアプリにおけるユーザーの行動を、動画と統計の両面から可視化できるヒートマップツールです。
- 主な機能
- クリック/スクロール/マウス移動ヒートマップ:ユーザーの関心領域を視覚化
- セッション録画:ユーザーの行動をリアルタイムで録画・再生可能
- ファネル分析:コンバージョンに至るまでの離脱ポイントを分析
- イベントトラッキング:特定の動作(ボタン押下など)を定義して分析
- ユーザーフィルタリング:地域、デバイス、OSなどでユーザーの絞り込みが可能
- 無料プランの内容と制限
- 月間3,000セッションまで無料。
- データ保持期間:30日間
- 機能制限:高度なファネル分析やAPI連携は有料プランで提供
- 使用方法の簡単説明
- Smartlook公式サイト で無料アカウントを作成します。
- トラッキングコードをウェブサイトに設置します。
- 設置完了後、ユーザーの行動が自動的に記録され、管理画面で閲覧可能
5.UserHeat(ユーザーヒート)
UserHeat(ユーザーヒート)は、株式会社ユーザーローカルが提供する国産の無料ヒートマップツールです。
簡単に導入でき、誰でも直感的にユーザー行動を可視化できます。
- 主な機能
- 5種類のヒートマップ表示(例:終了エリア、熟読エリア、クリックエリアなど)
- 無料プランの内容と制限
- 完全無料
- 1サイトあたり月間30万PVまで
- 対応ページ数:1アカウントあたり、約1000種類
- サポート体制:日本語ヘルプとFAQを提供
- 使用方法の簡単説明
- UserHeat公式サイト で無料アカウントを作成します。
- トラッキングコードをウェブサイトに設置します。
- 設置完了後、各ページのヒートマップが管理画面で閲覧可能
無料ヒートマップツール比較表一覧(2025年時点)
ツール名 | 主なヒートマップ機能 | セッション録画機能 | 無料プランの制限 |
---|---|---|---|
Microsoft Clarity | クリック、スクロール、エリア、ユーザーフローなど | ○ | 制限なし(PVやページ数含めて) |
Hotjar | クリック、マウス移動、スクロールなど | ○ | 1日最大35セッション追跡 |
Mouseflow | クリック、スクロール、アテンションなど | ○ | 月間500セッションまで |
Smartlook | クリック、スクロール、マウス移動など | ○ | 月間3,000セッションまで |
UserHeat | クリック、マウス移動、スクロール、離脱、読了など | × | 月30万PVまで |
ヒートマップを活用したコンバージョン改善の実践5ステップ
ヒートマップツールを導入した後は、ただ閲覧するだけでは十分な成果は得られません。
ここでは、CV(コンバージョン)改善のためにヒートマップを効果的に活用するステップを、実務視点で整理します。
STEP1:改善したいページとKPIを明確にする
まずは、ヒートマップを設置する対象ページと、そのページで達成すべき目標(KPI)を明確に設定しましょう。
- 例)ランディングページ → CVR(コンバージョン率)
- 例)ブログ記事 → CTAボタンのクリック率
目的が曖昧なままヒートマップを眺めても、有効なヒントは得られにくくなります。
STEP2:各ヒートマップタイプをチェックする
ツールによって種類は異なりますが、代表的なヒートマップタイプには以下があります。
- クリックヒートマップ:訪問者がクリックした箇所を可視化
- マウスムーブメントヒートマップ:マウスの動きから注視エリアを推定
- スクロールヒートマップ:どこまでスクロールされたかを可視化
これらをページの目的と照らし合わせて確認することで、課題が浮かび上がります。
STEP3:改善ポイントを特定する
ヒートマップの可視化データから、以下のような課題の兆候を読み取ります。
- CTAが見られていない(→ スクロール不足)
- 想定外の箇所がクリックされている(→ 誘導不足・デザインの誤解)
- 関心のないエリアが長く読まれている(→ 情報設計の再考が必要)
「どこで離脱しているか」「どの要素が注目されていないか」を中心に観察するのがポイントです。
STEP4:改善施策を実行 → ABテストなどで検証
課題を特定したら、改善案を実装し、その効果を測定します。
- CTAボタンの文言・配置を変更
- ファーストビューの訴求を強化
- 不要セクションの削除や順序入れ替え
効果検証にはABテストを活用することで、より精度の高い改善が可能になります。
STEP5:定期的な分析と改善のループ
ヒートマップ分析は1回限りで終えるものではありません。
ユーザーの行動は日々変化しており、継続的にチェックして改善を重ねることが重要です。
- 月次での定期チェック
- サイト改修後の検証
- 新規流入チャネル増加後の変化確認
改善→検証→再分析のPDCAを継続することで、CVRの底上げが見込めます。
まとめ
ヒートマップツールは、Webサイト訪問者の行動を「視覚的に」把握できる優れたツールです。
特に、以下のような課題を抱えるWeb担当者にとっては、費用対効果の高い解決策となります。
- ページ表示スピードやSEOは一定の成果が出ているが、CVRが伸び悩んでいる
- フォームやCTAの設置位置に迷っている
- リニューアルやLP改善の方向性を、社内や上層部に説明する材料がほしい
無料で使えるツールでも、スクロールやクリックの傾向をつかむだけなら十分に実用レベルです。
一方で、セッション数や同時計測数に制限があるケースも多いため、サイト規模や改善の緊急度に応じて有料プランの導入も検討しましょう。
ヒートマップは、デザインや感覚ではなく「実際のユーザー行動」に基づく改善判断を可能にします。
だからこそ、費用をかけたリニューアルや広告施策の“外れ”を減らす、費用対効果が高いツールになります。
まずは無料ツールで実際に計測をはじめ、小さな仮説と改善を積み重ねていくことが、CVR向上への第一歩です。
よくある質問
- ヒートマップは、アクセス数が少なくても使えますか?
- はい、使えます。
ただし、十分なサンプル数(アクセス数)がないと、ユーザー行動の傾向を正確に判断しづらくなります。
最低でも数百セッション以上のデータがあると、ある程度信頼性の高い分析が可能です。 - ヒートマップで得た気づきは、すぐに改善に活かせますか?
- 活かせます。
例えば「よく見られるページなのにCTAボタンのクリック率が少ない」「目立つ場所なのに注目されていないバナー」など、すぐに改善できるポイントが見えてきます。
ただし、改善内容の優先順位づけとABテストの実施も重要です。 - スマホとPCでは、ヒートマップの結果は変わりますか?
- はい、大きく異なります。
スクロール量、注目ポイント、クリックエリアなどがデバイスごとに異なるため、それぞれ分けて確認することが重要です。
多くのツールでは、PC・スマホを別々に切り替えて表示できます。 - 無料プランで十分に活用できますか?
- 一定の範囲では可能です。
特にMicrosoft Clarityは、無料でも複数ページを対象にヒートマップ分析が行えるため、初期段階での改善には非常に有用です。
ただし、詳細な分析や複数サイトへの導入などを検討する場合は、有料プランや他ツールとの併用も視野に入れると良いでしょう。 - GA4などのアクセス解析との違いは?
- GA4は数値での定量分析が中心であるのに対し、ヒートマップは「どこが注目されているか」などのビジュアル分析=定性分析に優れています。
両者を併用することで、「どこで離脱しているか(GA4)」+「なぜ離脱しているのか(ヒートマップ)」といった深い洞察が得られます。
Webトラフィック解析ダッシュボードの公開
ココミルでは、LookerStudio利用して「Webトラフィック解析ダッシュボード」を公開しました。
必要なのは解析したいGoogle Analytics(GA4)やSearch ConsoleなどのGoogleアカウントのみです。