2024年時点で、日本国内のインターネット利用者のうち、約9割がスマートフォンを使用してWebにアクセスしていると言われています。
参考:総務省「令和6年通信利用動向調査」
この数字が示す通り、もはやモバイル環境への最適化は、ユーザー体験だけでなく検索エンジン対策(SEO)においても必須となっています。
特にGoogleでは、全サイトをモバイル版で評価するモバイルファーストインデックス(MFI)が完全に導入されており、PC向けにどれだけ良いサイトを作っても、モバイルでの表示や使いやすさが悪ければ、検索順位に悪影響を及ぼす可能性があります。
「スマホで見るとデザインが崩れていないか心配…」「自社サイトのSEOが弱いのはモバイル対応不足が原因かも?」と感じている方は、まず現状を正しく把握することが重要です。
この記事では、モバイルSEOを強化するための無料診断ツールを4つ厳選してご紹介します。
どれも専門知識がなくても使えるツールなので、今日からチェックと改善を始めたい方にぴったりです。
モバイルSEOとは?
モバイルSEOとは、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末での閲覧を前提としたSEO対策のことです。
従来のPC向けSEOとは異なり、画面サイズや操作性、通信環境など、モバイル特有の制約に配慮した最適化が求められます。
特に重要なのが、Googleが採用するモバイルファーストインデックス(Mobile-First Indexing:MFI)という評価基準です。
これは、検索順位を決定する際にPC版ではなくモバイル版のページ内容を基準に評価する仕組みを指します。
そのため、モバイル対応が不十分なサイトは、本来の価値が正しく評価されず、検索順位が下がってしまう可能性があります。
また、Googleはモバイル対応について「モバイルフレンドリー」であるかどうかも評価しています。
これは、以下のような基準をクリアしているかどうかをチェックするものです。
- スマートフォンの画面サイズに応じて適切に表示される(レスポンシブデザイン)
- フォントサイズが読みやすい
- ボタンやリンクが指でタップしやすい
- ページの読み込み速度が遅くない
モバイルSEOを正しく実践することで、検索順位だけでなく、訪問ユーザーの離脱防止やコンバージョン率の向上にもつながります。
まずは、自社サイトがモバイルに最適化されているか、正しく診断することが第一歩です。
モバイル対応を確認する無料ツール4選
モバイルSEOを強化するためには、まず自社サイトの現状を把握することが不可欠です。
ここでは、モバイル対応状況を無料で診断できるツールを4つご紹介します。
いずれもブラウザ上で手軽に使えるため、専門知識がなくてもすぐに試すことができます。
1.Google Lighthouse(DevTools/Chrome拡張機能)
https://developer.chrome.com/docs/lighthouse…
Google Lighthouseは、Googleが提供するWebサイト分析ツールで、モバイルパフォーマンス・アクセシビリティ・SEOなどを総合的に評価できます。
Chromeブラウザに標準搭載されており、追加のインストールは不要です(現在も拡張機能としてインストールして使うこともできますが)。
使い方
- Chromeでサイトを開く
- 右クリックまたはF12 →「検証」→「Lighthouse」タブ
- モバイル端末を選択し、[Generate report]をクリック
活用ポイント
- ページ速度や画像最適化など、改善点が具体的に提示される
- 開発者だけでなく、マーケティング担当者にも有益
- Core Web Vitals対応のスコアも確認可能
Google Lighthouseの詳細については、下記の記事で解説しています。
ぜひ参考にしてみてください。
Google Lighthouseの使い方と評価項目の紹介
Google Lighthouse(ライトハウス)は、ウェブサイトのパフォーマンスやユーザー体験を評価するためのツールです。
特に、ウェブ開発者やSEO専門家にとって重要なツールであり、サイトの改善点を明確にするために利用されます。
2.Google PageSpeed Insights
PageSpeed Insightsは、ページの読み込み速度やモバイル表示の最適性を評価するGoogle公式ツールです。
モバイル・デスクトップの両方に対応しており、ユーザー体験(UX)を数値化して表示してくれます。
使い方
- 下記URLにアクセス
https://pagespeed.web.dev/ - チェックしたいURLを入力して「分析」をクリック
活用ポイント
- LCP・CLS・INPなどのコアウェブバイタルに基づく診断が可能
- スコアだけでなく、改善提案も提示される
- サイトの表示速度がSEOに与える影響を把握できる
3.Bingモバイルフレンドリーテストツール
https://www.bing.com/webmaster/tools/mobile…
Bingモバイルフレンドリーテストツールは、Microsoftが提供する診断ツールです。
Googleの基準とは異なる視点での分析が可能で、Bing検索エンジン向けのSEO対策にも役立ちます。
使い方
- 下記URLにアクセス
https://www.bing.com/webmaster/tools/mobile-friendliness - 検査したいURLを入力して診断を実行
活用ポイント
- 文字の可読性やタップ要素の大きさなど、UI面での指摘が多い
- Googleのツールと併用することで、診断の補完ができる
- Bingからの集客も考慮する場合に有用
4.Mobile Moxie ページスコープ
https://mobilemoxie.com/tools/mobile-page-test/
Mobile Moxie ページスコープは、実際のスマートフォン画面での表示をシミュレーションできるツールです。
日本語には対応していませんが、視覚的に表示確認したい場合に便利です。
使い方
- 下記URLにアクセス
https://mobilemoxie.com/tools/mobile-page-test/ - 国、URLと表示端末(例:iPhone 14、Pixelなど)を選択
- 表示を確認
活用ポイント
- 実機に近い画面表示が確認できる
- タブレットや複数端末でのUI確認が可能
- モバイル画面での見え方をクライアントに共有したいときにも便利
各ツールの比較表一覧
ここまで紹介した4つのモバイル対応チェックツールには、それぞれ得意分野や使い勝手に違いがあります。
目的に応じて適切なツールを選べるよう、主な特徴を比較表にまとめました。
ツール名 | 主な診断項目 | 特徴 | 操作性 |
---|---|---|---|
Google Lighthouse | モバイルパフォーマンス / SEO / UXなど | 開発者向けに詳細分析が可能 | やや中級者向け |
PageSpeed Insights | 表示速度 / Core Web Vitals | スコアと改善案が明確 / 誰でも使いやすい | ◎ |
Bingモバイルフレンドリーテスト | モバイルUI / タップ領域 / フォントなど | Bing視点の補足診断に最適 | ◎ |
Mobile Moxie ページスコープ | 実機表示シミュレーション | 表示崩れやレイアウトの直感的確認に便利 | ○ |
- 総合診断をしたい場合は、Google LighthouseやPageSpeed Insightsが効果的です。
- UIの視覚的な問題点を確認したいときは、Mobile Moxieが便利です。
- Bingの検索結果も意識したい場合は、Bingモバイルテストでの補足診断も検討しましょう。
モバイル対応チェック後に行うべき改善策
モバイル対応チェックツールで問題点が見つかったら、検索順位やユーザー体験を損なわないよう、改善しましょう。
ここでは、ツールでよく指摘される代表的な項目と、その対応策を紹介します。
1.ページの読み込み速度を改善する
PageSpeed InsightsやLighthouseで低評価になりやすいのが、モバイルにおける読み込み速度です。
表示が遅いと、ユーザーの離脱率が高くなり、SEOにも悪影響を及ぼします。
対策例
- 画像を軽量形式に変換する
- JavaScriptやCSSの読み込みを最適化(不要なスクリプトの削除や遅延読み込み)
- サーバー応答速度の改善(レンタルサーバーの見直しやキャッシュ利用)
表示速度対策 ホームページ作成後の落とし穴!
表示速度を計測する「Google PageSpeed Insights」は点数へ目がいきやすいですが、この点数はあまり気にしなくても結構です。
あきらかに表示速度改善に繋がる修正(自身でアクセスして体感で分かるレベル)をしても、改善前より点数が低くなることが多々あります。
2.レイアウトの崩れ・操作しづらさを修正する
スマホで見たときに、文字が小さい・リンクが押しにくい・横スクロールが発生する、といった問題もよく指摘されます。
これらはモバイルフレンドリー性に大きく関わる要素です。
対策例
- レスポンシブデザインを採用する(メディアクエリの見直し)
- タップ要素のサイズを指で操作しやすい大きさにする
- 行間や文字サイズを読みやすいように調整する
3.Core Web Vitals(LCP、INP、CLS)への対応
Googleのランキング要因にもなっているコアウェブバイタルの指標も要チェックです。
- LCP(Largest Contentful Paint):読み込みの速さ
- INP(Interaction to Next Paint):インタラクションの応答性
- CLS(Cumulative Layout Shift):レイアウトの安定性
対策例
- メイン画像の読み込みを最適化(遅延読み込みしない)
- ボタンやバナー表示の位置を固定し、ズレを防止する
- JavaScriptの処理時間を短縮する
コアウェブバイタル(LCP・INP・CLS)完全ガイド
ツールでの診断結果に対して優先度の高い改善点から取り組むことで、検索順位やユーザー満足度の向上につながります。
完璧を目指す必要はありませんが、「最低限モバイルで快適に使える状態」を保つことを目指しましょう。
まとめ
モバイル端末からのアクセスが主流となった今、モバイルSEOの最適化は全てのWebサイトにとって必須の取り組みです。
特にGoogleがモバイルファーストインデックスを採用して以降、モバイル対応の有無が検索順位に直結するようになりました。
- Google Lighthouse、PageSpeed Insightsによる総合診断
- Bingモバイルフレンドリーテストによる視点の補完
- Mobile Moxieによる実機表示のシミュレーション
まずはこれらのツールを活用して、自社サイトの現状を客観的に把握することから始めましょう。
その上で、ページ速度やレイアウト、ユーザー体験など、改善すべきポイントを一つずつ見直していくことが、持続的な検索流入の獲得につながります。
よくある質問
- モバイル対応していないと、どの程度SEOに影響しますか?
- 現在のGoogleはモバイルファーストインデックスを採用しているため、モバイル対応していないと検索順位に悪影響が出る可能性が高いです。
特にスマホ利用者が多い業種では、流入の大幅減少につながるリスクもあります。 - スマホ専用ページを別に作ればモバイルSEOになりますか?
- 可能ではありますが、管理が複雑になり、ミスや情報の不一致が発生しやすくなります。
現在は1つのHTMLでPCとスマホの両方に対応できるレスポンシブデザインが推奨されています。 - 無料ツールだけで十分に対策できますか?
- はい。今回ご紹介したツールを活用すれば、基本的なモバイルSEOの課題は洗い出し可能です。
ただし、重大な技術的課題がある場合は、開発者や専門業者への相談も検討すべきです。 - モバイルSEO対策の優先順位をつけるには?
- 一般的には、1:ページの表示速度改善 → 2:レイアウト・UI修正 → 3:技術的指標(Core Web Vitals)対応の順に進めるのが効率的です。
ツールの改善提案を参考に、影響度の高いものから着手しましょう。 - 定期的なモバイルチェックは必要ですか?
- はい。サイトの更新や仕様変更、Googleの評価基準のアップデートにより、一度対応した内容が後から問題になることもあります。
最低でも3~6ヶ月ごとにチェックするのが理想です。
情報参考ページ:Free SEO Tools To Use
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